敬語の使い方

「私には役不足です」は正しい敬語か?(和文・英文例)

パンダ

お仕事だいすきパンダだよ。 転職はしない方がいいことのほうが多いから、慎重にね

敬語をうまく使えないので、どうすればいいの?
パンダ

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前置きはこのくらいにして、本題に入りましょう。

「私には役不足です」は正しい敬語?

「私には役不足です」という言葉を使ったことがある人は多いのではないでしょうか。よく自分の立場以上に価値のある仕事を任されたとき、役不足という言葉を使って恐れ多いと謙遜する人がいます。あなたも一度は過去に使ったことがあるのではないでしょうか。しかし、このような場面において、役不足の使い方は間違っていると言えます。実は日本人の5割が役不足という言葉の使い方を間違えていると言われているのです。

役不足とは本来、能力に対して役目が軽すぎることを意味しています。実はよく使われている使い方とは、全く反対なのです。そのため与えられた役目に対して恐れ多いと謙遜する意味で使うと、与えた仕事以上のものを欲しがっているなんて失礼な人なんだと思われかねません。たった一言で関係が拗れる可能性であるため、日本語は正しい使い方を知ったうえで使う必要があるのです。

役不足という言葉の歴史を調べてみると、もともと役不足の「役」とは俳優や女優のような役者の役ではなく、国や会社から与えられた任務や仕事のことを指します。そのため役不足とは自分にとって役目が物足りないという意味になるのです。自分にはもっと適した仕事があるはずだ、と主張する言葉でもあるため、使い方を間違えると自信過剰の発言だと恥をかいてしまう可能性が少なくありません。しかし、役不足という言葉は決して敬語や謙遜語にはなりません。あくまで丁寧語として使われているに過ぎないのです。

役不足という言葉をより理解するために、同じような言葉として朝飯前や不服という言葉があります。たとえば「こんな仕事、僕にとっては朝飯前だ」「朝飯前だと豪語していたのに、彼は失敗した」、「彼はこの仕事を任されて不服なようだ」「仕事が物足りなくて不服だと聞いた」など、このように使われます。

そして役不足と反対の意味で使われているのが、「力不足」という言葉です。与えられた役にたいして、自分の力が不足していることを指します。よく役不足と間違えられやすい言葉ですが、上手に使い分けができるとビジネスシーンでも恥をかくことはありません。たとえば「このような大きなプロジェクトは私にとって力不足かもしれませんが頑張ります。」や「私では力不足だと言われることがないよう、できる限りの対策をして挑みたいと思います。」など、このように使われます。自分の力が足りていないことを表現する言葉なので、謙遜するときに使うことがほとんどです。

さらに深く役不足という言葉を知りたい人は、英語に訳したときの表現方法を知っておくと分かりやすいと思います。役不足を英訳するとtoo easy for oneになります。easyは簡単、tooがつくことで簡単すぎるという表現になり、for oneは~にとって。too easy for oneを直訳すると、~にとって簡単すぎるということになります。たとえば、「The job is too easy for him(その仕事は彼にとって簡単すぎる)」「The job is too easy for me.Not enough for me(その仕事は簡単すぎる。物足りない)」などのように使われます。英語に訳してみると、役不足という言葉の使い方が一層分かりやすく感じたのではないでしょうか。そして反対語である力不足という言葉を英訳すると、easy(簡単)の対義語であるdifficult(難しい)になります。

例文

役不足という言葉は、自分の与えられた仕事が自分の立場よりも軽すぎるときに使われます。たとえば、「私にとってこの仕事は物足りない、役不足だ。」「先輩にとってこの仕事は役不足ではないですか?」など、このように表現されます。

役不足という言葉を使う場面は大きく分けて3種類。自分の能力をアピールしたいとき、褒めるとき、依頼したいときです。たとえば自分には任された以上の能力があるとアピールしたいとき、役不足という言葉を使ってもっと大きな仕事を任してほしいとアピールすることができます。そして役不足という言葉と使い、相手の能力の高さを褒めることもできるのです。他にも、さりげなく何か仕事を依頼したいときなどに役不足という言葉は使うことができます。これは日本語の面白い部分でもありますが、使う相手との関係性や立場の違いを含めるだけで言葉の使い道が大きく変わってくるのです。

役不足という言葉には様々な使い道がありますが、多くの日本人が勘違いして覚えている、自分の能力が足りないと、へり下るような使い道はありません。正しい日本語の使い方は、自分の正当な評価にも繋がります。ビジネスシーンできちんと使えることで、自分の評価が一層高くなること間違いありません。

例文(上司あて)

役不足という言葉を上司あてに使うときには、自分はもっと大きな仕事もできるというアピールとして使うことができます。ただし役不足という言葉の本質を理解していないと使うことができないので、ビジネスシーンで使う時は注意しましょう。

(例1)〇〇部長、お疲れ様です。営業部の(自分の名前)です。実は折り入ってご相談があり、ご連絡させていただきました。今回私が担当している仕事について、出過ぎた発言かもしれませんが役不足ではないかと感じています。新入社員当時から丁寧に仕事を教えていただき、今では問題なく仕事をこなすことができています。先輩方から教えていただいたことを活かすためにも、少しレベルアップした内容にチャレンジする機会を頂けませんでしょうか。今は余裕もあるため、新しいことを学ぶ時間もあります。一度ご検討して頂けたら幸いです。今後もご指導ご鞭撻の程、宜しくお願い致します。

(例2)〇〇部長、お疲れ様です。(自分の名前)です。新入社員の〇〇について相談があり、ご連絡させていただきました。お時間がある際に、目を通して頂けたら幸いです。本題になりますが、新入社員の〇〇ですが、今任している仕事だけでは少し役不足になってきたのではないかと思います。私が指導係として教育していますが、今まで以上の仕事を任せることができるのではないかと感じています。すでに任せている仕事はミスもなく丁寧におこなっているうえ、時間に余裕もあります。〇〇部長の判断にお任せ致しますが、一度仕事内容の変更についてご検討して頂けたら幸いです。新入社員の〇〇と同じく、私も指導することによって成長することができます。今後もご指導ご鞭撻の程、宜しくお願い致します。

このように、新たな仕事にチャレンジしたいというアピールをする際に活用すると良いでしょう。今の仕事内容では物足りない、と直接的に伝えるよりもやる気を感じられ、仕事内容に変化が生まれるかもしれません。力不足という言葉の真意を理解し、正しく使うように心がけましょう。

例文(部下あて)

部下に向けて役不足という言葉を使うとき、さらに価値のある仕事を任せても良いかという確認を含めて褒めるときに使うことがあります。もしも上司からのメールで役不足という言葉を使われたからといって、落ち込む必要はありません。実は褒められていると気がつくことが大切です。

(例1)お疲れ様です。先日提出してもらった〇〇株式会社へのプレゼン資料を確認致しました。内容を確認したうえで、あなたには少し役不足であったのではないかと思いました。分かりやすくまとめられていましたし、期限よりもずいぶんと早く提出していましたね。そのため、次回の仕事は今回よりも少しレベルを上げたものにしようかと検討しています。今回はお疲れ様でした。今後も成長を期待しています。

(例2)お疲れ様です。先日のイベント実行委員お疲れ様でした。委員長からあなたの仕事内容や活躍についてもお聞きしていました。今回はあなたにとって少々役不足であったかもしれませんね。来年は実行委員長に推薦したいと思いますので、ぜひ宜しくお願いします。今回も無事に終われてよかったです。お疲れ様でした。

(例3)お疲れ様です。約3ヶ月間、新入社員〇〇さんの教育ありがとうございました。今回ベテランであるあなたに依頼したのは少々役不足かと思いましたが、頼んで本当によかったです。今まで教育係について様々な意見がありましたが、やはり頼れるあなたに依頼したことで新入社員の〇〇さんもこの会社に慣れるのが早かったように感じました。今後は教育係という名目がなくなりますが、気にかけてあげてください。教育係お疲れ様でした。今後も期待しています。

このように役不足という言葉は簡単な仕事を任せてしまって申し訳ない、そして仕事内容以上の能力があなたにはあると褒めるときに使われます。一見、使われた側は幻滅されてしまったと思われがちですが、正しく理解することが必要です。そして役不足という言葉を使って褒めるときは、相手はきちんと言葉の真意を理解するスキルがあるのか事前にリサーチしておく必要がありあます。万が一、役不足という言葉を理解できていないと、勘違いから今後の関係に溝ができるかもしれません。きちんと褒めているという気持ちが伝わる相手であるのか、という点も重視して考えるようにしましょう。

例文(同僚あて)

同僚にあてるメールで役不足という言葉を使うときは、仕事を丁寧に依頼するときに使うことができます。たとえば仕事を手伝ってもらいたいときや、何か割り振りをしたいときなど、様々な場面で使用することが可能です。

(例1)お疲れ様です。(自分の名前)です。仕事内容について相談があり、ご連絡しました。来週おこなわれる〇〇株式会社でのプレゼン資料ですが、一度事前に目を通していただくことは可能でしょうか。先輩にとっては役不足な内容かもしれませんが、修正などがあれば指摘して頂けたら幸いです。どうか宜しくお願い致します。また、日頃から仕事内容に関する指導ありがとうございます。

(例2)お疲れ様です。(自分の名前)です。いきなりの連絡申し訳ございません。実は来月行われる社内イベントについて、お手伝いをお願いしたくて連絡しました。去年イベントの主催をしていた〇〇さんには役不足かもしれませんが、行き詰まっていて。何かアドバイスをもらえると助かります。イベントを担当しているグループ全員が頼りにしていますので、どうか宜しくお願い致します。

(例3)お疲れ様です。(自分の名前)です。今回私たちが担当している〇〇株式会社さんへのプレゼン資料の作成ですが、現時点で少し資料が足りていません。統計を出すためには必要な資料があるのですが、〇〇さんに資料集めを頼んでもよろしいでしょうか。役不足な仕事を頼んでしまってすみません。私は、別に必要な資料をまとめておきますので、時間があるときに取り掛かっていただけると幸いです。宜しくお願い致します。

このように先輩などの同僚にあてたメールで役不足という言葉を使うと、丁寧に物事を依頼することができます。お願いしますという言葉だけでは物足りないと感じたときにさりげなく役不足という言葉を入れると、少し丁寧にお願いしている雰囲気が作り出せるのです。役不足という言葉の本質を理解しているだけで依頼するときに使える語群が幅広くなり、一層丁寧に依頼している気持ちが伝わります。

まとめ

「役不足」という言葉の使い方はきちんと理解していないと、大きな間違いを犯してしまうということがわかったでしょうか。日本人の多くが間違えて使っている言葉の代表的なものでもありますが、ビジネスシーンにおいて間違った使い方をしていては恥をかいてしまいます。上司にも、たった一言の間違いで世間知らずな若者だという印象を持たれかねません。自分に自信がなく、へり下って使う言葉ではなく、自分に自信があるときに使う言葉であると理解しれおきましょう。そして上司や部下、同僚へのメールなどで使う時は文脈に注意を払い、何かチャレンジしたいときや褒めるとき、依頼したいときにさりげなく使うようにしましょう。言葉の本質を理解しているだけで、ありきたりな言葉から一歩レベルアップした文章を作り出すことができます。役不足という言葉だけでなく、他にも間違えた使い方をしている日本語はたくさんあります。ビジネスシーンで使う言葉だけでもあらかじめ学んでおくといいでしょう。

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