「御社について存じ上げております」は正しいか、正しくないかについて解説!
また、今すぐ使える例文を日本語・英語で解説します。
敬語を正しく使うことができると、相手に好印象を与えることができます。
この記事を読んで、ビジネスもプライベートも充実させましょう!
今すぐ使える例文もあるんだね!
しかも英語の例文も載せてくれてるよ!
本記事では「御社について存じ上げております」について画像を使いつつ超わかりやすく解説していますので、
最後までご覧ください。
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「御社について存じ上げております」は正しい敬語?
では、「御社について存じ上げております」は正しい敬語か?解説していきます。
「御社について存じ上げております」は正しい敬語ではない
結論から述べると、「御社について存じ上げております」は正しい敬語ではありません。
なぜなら、「知っている」ことの対象はヒトに限られますが、
今回の対象は「御社」であるためです。
正しくは「御社について存じております」となります。
「存じる」と「存じ上げる」の違い
【存じる】と【存じ上げる】はどちらも、「思う」「知る」という言葉の謙譲語として意味を成す言葉です。
しかし、文法上の使い方が異なります。
敬語は「謙譲語1、謙譲語2、丁寧語、美化語、丁寧語」の5つの種類に分けられています。
これは文化審議会という文化庁の機関で位置づけされており、日常会話の中での使い分けがカギとなります。
「御社について存じております」というフレーズは、「そちらの会社を知っている」という言葉を丁寧に記したものです。
会社を丁寧に「御社」と言い換えることは一般的ですが、ここでいう「存じております」は、文章中にある会社に対するへりくだりではありません。
話をする相手に対して「知っていますよ」と答える言葉なので、「存じております」という言葉遣いになります。
ちなみに、【存じ上げる】という言葉は、謙譲語1に分類される言葉です。
「御社の社長はよく存じ上げている」というような用法が一般的です。
目の前にいる相手に対する丁寧な言葉遣いはもちろんですが、文中に登場する「社長」に対してへりくだっていることも伝わります。
ちなみに、【存じ上げる】というように、「~上げる」が付く場合へりくだる相手が人の場合に限ります。
したがって「御社を存じ上げております」という用法は誤りとなるのです。
「御社について存じております」が使われるシーン
「御社について存じ上げております」は正しい敬語ではないとお伝えしました。
では、正しい使い方である「御社について存じております」はどのようなシーンで使われるのでしょうか。
- 面接中に、就活生が質問する場合
面接の中で定石といっても過言ではない「御社について伺います」というもの。 - 就職・転職において、面接官が質問する場合(「志望理由を教えてください」など)
「弊社について、どんなことを知っているか、どんなことに興味を持っているか」といった内容を問われます。
目を輝かせ『御社について存じあげております』と堂々と答える人はNGです。
就職・転職において、面接官が質問する場合(「志望理由を教えてください」など)
就活生(転職生)は、試験管にどのような変化球を投げかけられても受け答えできるようにしましょう。
創立年、資本金、企業理念などを調べ、頭に叩き込んでおきましょう。
そこから派生して、自分を売り込むためのアピールポイントを練り上げることもできそうだね。
ここで準備してきたことについて、面接官から「御社のことをご存知ですか?」という質問が投げかけられたとき、あなたはどのように返しますか。
『御社について存じあげております』と答える人はNGです。
正しくは「御社について存じております」です。
正しい敬語を使いましょう。
「御社について存じ上げております」の例文
このコラムのテーマである「存じる」を使った例文を、自分から見て目上に当たる「上司」と、目下に当たる「部下」、同じ立場にある「同僚」に向けてまとめました。
再度おさらいしますが、「存じる」とは「知る」や「思う」の謙譲語(へりくだる言葉)に当たります。
自分が一歩引いた表現を行い、相手を敬うというのが謙譲語の基本です。
そのため、自分と同じ立場の人や目下の人に対して一般的な会話の中では使いません。
このことを踏まえて例文を見ていきましょう。
例文(上司あて)
文中に出てくる「存じておりました」は、取引先の社員が自社の社長のことを知っていたことを、自分の上司に伝えるフレーズです。
この場合、「存じ上げる」を用いることも検討できるのですが、現在あなたは自分の上司と話しています。
第三者となる人物(この場合、取引先の社員)を高めることは大切ですが、現在自分がへりくだるべき相手は上司なので「存じて」と表現しています。
また、「自社の社長」という身内のことを取り上げている内容です。
とらえようによっては、身内の人物に対して「存じ上げる」と掛け合わせることもできます。
もちろん、取引先の社員を高める「存じ上げる」ですが、現在の会話の相手によっては違和感を残すこともありますので、「存じておりました」を選択するのがよいでしょう。
例文(部下あて)
先ほどメールで、プランニング案と見積書案の提示をもらい、確認しました。
時間がタイトな中での作成、お疲れさまでした。
先方の担当者様が弊社が取り上げられた雑誌記事を拝見なさったとのこと。
このような話題を先方から振っていただけて、とても心強かったのではないでしょうか。
A社のニーズは、営業面のコスト削減だけにとらわれず、社員の福利厚生面にも反映できると思われます。
雑誌記事の内容に興味を持たれたのは、こういったことも考えられるのではないでしょうか。
福利厚生面でのメリットも打ち出してみると、さらに興味を持っていただけると存じます。
この文章中では「存じます」と「思われます」が混在しています。
もちろんどちらも同じ意味で使われています。
なぜ、「存じます」を用いているフレーズがあるのかというと、
これは上司自身の見解で使っている「思われます」と、部下へアドバイスとして届けている「思われます」は
ニュアンスが異なるからです。
『興味を持っていただけると存じます』という表現は、取引先であるA社に対するへりくだりではなく、アンサーを伝えている部下に対するへりくだりととらえましょう。
つまり指示ではなく、謙譲語を使って下から伝えることでプランニング書類や見積書を短時間で作り上げた部下を敬って(ねぎらって)いるのです。
例文(同僚あて)
お疲れ様です。
来週のA社接待の件、場所の予約や参加人数等の進捗を教えてください。
課長より確認のメールが入っているので、課長と情報を共有してもらえると助かります。
A社は上得意先で、本案件の窓口を担当している○○さんは、私もよく存じ上げています。
とても気さくな方なので、初対面でも話をしやすいと思います。
いろいろな話をしながら情報を引き出してみてください。
もし話に詰まったら、私の名前をだしてくれれば話題の糸口になると思います。
同僚に、接待の主導と状況の把握の共有をお願いしているメールです。
この文章中の「存じ上げています」というフレーズは、同僚との会話では他人行儀なイメージがあります。
「存じ上げる」という自分がへりくだり、相手を高める謙譲語を用いることで、「(良くも悪くも)隅々まで熟知している」ニュアンスを伝えています。
「名前を出してみて」というアドバイスが続くことで、二人の間にいくつかのエピソードがあるということも、想像できることでしょう。
まとめ
「御社について存じ上げております」というフレーズは正しい日本語ではありません。
正しくは、「御社について存じております」です。
謙譲語の使い方について覚えることで、面接突破はもちろんのこと、対外的な会話でも恥ずかしい思いをすることがありません。
これからも正しい日本語を使っていきましょう。
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