敬語の使い方

「幸いです」は正しい敬語か?(和文・英文例)

パンダ

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パンダ

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前置きはこのくらいにして、本題に入りましょう。

「幸いです」は正しい敬語?

「幸いです」は日常のビジネスシーンはもちろん、メールなどの文面でもよく見かける表現です。非常に丁寧な印象を与えることから使い勝手の良い表現にも思えますが、実際のビジネスシーンで使用する時にはいくつか注意したい面もあります。

「幸い」という言葉が使われているように使った側がメリットを得られる、「嬉しい」という気持ちを込めて使われる言葉です。歴史的にもほとんど意味合いは変わっていませんが、時代の変遷とともにくだけた表現として使われる機会が増えており、それが誤った使用、誤解を招く使用をもたらす原因になっている面もあります。つまり、昔だったら使わなかった場面でも気軽に使うようになっている傾向が見られるのです。

一般的に「幸いです」とは相手に何かを頼んだ時に「それをやってくれるとこちらは嬉しいです」という意味で使われます。依頼の表現の一種となるわけですが、少々曖昧なニュアンスが込められているのが大きな特徴です。その曖昧な部分が誤解を招いたり、人間関係において思わぬ問題を引き起こしてしまう原因にもなっているのです。

まず敬語として正しい表現なのか?ですが、これは表現を使う側、つまり依頼する側がへりくだったうえで相手にお願いする謙遜語ですから、丁寧な表現としてきちんとなりたっていると言えます。ですから、敬意を示す表現としては何の問題もありません。だからこそビジネスシーンでも幅広い場面で使用されているのでしょう。

問題なのは、曖昧な部分が双方の間で認識の違いをもたらす可能性が出てくることです。この表現を使う側としてはへりくだったうえで丁寧に「これをやってください、お願いします」というニュアンスで使ったにも関わらず言われた側は「できればでいいのでお願いします」と受け取る可能性が出てきます。依頼した側は確実に、しかもできるだけ早くやってほしいにも関わらず、受け取った側はできる範囲内で無理せずにやれば大丈夫、と見なしてしまうわけです。

友人同士や近所同士の付き合いなら、こうした齟齬はとくに問題にはならないかもしれませんが、ビジネスともなると大きな問題を引き起こす可能性が出てきます。例えば取引先に対してこの表現を使う場合、使う側の会社は社運をかけた大事な要件を頼んでいるにも関わらず、取引先には軽く受け止められてしまう可能性も出てくるからです。

あるプロジェクトを進行している最中に、スタッフ同士でこの表現を使う場合にも注意が必要でしょう。「○○日の午前中までのそのタスクを完了していただけると幸いです」といった表現を使うと、絶対にその日時までに終わらせる必要があるのか、「できればその時までに完了させてくれると助かる」といった程度なのか、曖昧になってしまいます。その日時までに完了しないとプロジェクトの進捗に支障が生じるにも関わらず、「幸いです」ではその深刻さを相手に伝えることができずに、問題を起こしてしまう可能性が出てくるわけです。

とくに現代のビジネスシーンでは複数の部署、企業、さらにはフリーランスのスタッフも交えてひとつのプロジェクトを進めていく機会が増えているため、曖昧な表現が思わぬ問題を引き起こしてしまう可能性を秘めています。そんな状況下で、丁寧語・謙遜語としてこの表現を使う場合には注意が必要になるわけです。

ですから、こうしたシチュエーション、相手に確実に何かをやってほしいときには「幸いです」ではなく「なにとぞよろしくお願い申し上げます」など「やってくれると嬉しい」ではなく、「面倒をかけるかもしれませんがよろしくお願いします」というニュアンスが込められた表現を使うのがよいでしょう。

間違いないのは、期日が迫っている用事や相手を急がせるような依頼に対しては使えない表現だということです。例えば、その依頼のために相手が予定を変えてでも対応しなければならない場合に「幸いです」を使うと、少々横柄な印象を与えてしまいかねないので気をつけましょう。

この丁寧語・謙遜語としての曖昧さは、目上の人に使う時にも問題を引き起こす可能性を秘めています。「あなたがわたしの頼みを聞いてくれると嬉しいです」という意味合いの表現を目上の人、上司や取引先の人に使っていいのか? 極端な言い方をすると、目上の人に対して「わたしを喜ばせてください」「わたしの都合に合わせてください」と頼んでいるようなものですから、ふさわしくない表現になる可能性もあるのです。

とくに頼んでいる内容が相手に手間をかけさせるような内容の場合、あるいは納期がしっかり決まっていて相手がそれに合わせる必要がある場合に「幸いです」を使うと、かなり一方通行な印象を与えてしまう恐れがあります。例えば上司に対して「来週の商談のために準備をしていただけると幸いです」などと使うと、あくまで自分が主役であり、上司に対して自分の都合に合わせるよう頼んでいるようなニュアンスになりかねません。

この「幸いです」は丁寧な敬語として使える一方、使用するシチュエーションによっては相手にこちらの都合を一方的に押し付ける印象を与えてしまう恐れがあります。「あなたがこの頼みを聞いてくれないとわたしが困るんです」といったニュアンスで受け止められてしまうと、ちょっと困ったことになりかねません。丁寧で使いやすい表現だからといって相手構わず使うようなことは避け、あくまでTPOをわきまえたうえで、ふさわしいタイミングで使うよう心がけたいところです。

ただ目上の人に対して絶対に「幸いです」を使ってはいけないわけではなく、少し工夫して敬意を強める表現にすれば使うこともできます。「幸いです」を使用するバリエーションを広げる工夫も検討してみましょう。

もうひとつ、「あなたが頼みを聞いてくれるとわたしはとても嬉しいです」というニュアンスが込められていますから、軽々と使わないことも重要です。一度の連絡、依頼に対して一回だけ使うのが原則。「来週の会議に参加してくださると幸いです。その際には先日お願いしておいた資料を持参していただけると幸いです」などといった使い方をすると、相手が自分の思い通りに動くのを期待しているような印象になりかねません。

例文

曖昧な面がある表現だけにその曖昧さをうまく活かすか、逆になくすかが使用する上での大事なポイントです。例文を参考にしつつ、シチュエーションごとに適した表現をチェックしてみましょう。

例文(上司あて)

先ほども触れたように、上司あてのように目上の人に使うときにはとくに注意が必要です。「幸いです」をより丁寧に、そして相手に対する敬意をこめて表現するために「幸いに存じます」という言葉が使われます。

「来週の結婚式にご参加いただけたら幸甚に存じます」
「先日のわたしの提案を検討していただけると幸甚に存じます」

など、かなりフォーマルな場で使用するのが特徴です。この表現には、相手が目上で立場が上なのを確認したうえで「できればわたしの都合に時間と手間を割いていただけると嬉しいです」と、へりくだりつつ尊敬の意味を込めているニュアンスが含まれています。

ただこの「幸甚に存じます」はあまりにも硬すぎるため、日常の会話では使いにくい面もあります。そんなときにはよりシンプルに「幸いに存じます」が適しています。

「わたくしどもの資料に目を通していただけると幸いに存じます」
「来週までにお返事をいただけると幸いに存じます」

など。「幸甚に存じます」と同様、先方に手間をかけさせることに申し訳ない気持ちを込めつつ、依頼に答えてくれたときにはとても嬉しい、助かるといったニュアンスが込められている表現です。

同じ職場の上司や日常の会話では「幸いに存じます」を使い、取引先やフォーマルな場、文面などでは「幸甚に存じます」を使う。うまく使い分けることで、一方的なニュアンスが含まれない表現として相手にこちらのお願い事を伝えることができるでしょう。

例文(部下あて)

丁寧な表現だけに部下あてに使う機会は少なく、もっとくだけた表現が多くなるのが一般的です。使うとすると年上の部下やプロジェクトなどで、一時的に上司・部下の関係になった相手に対してが多くなるでしょう。

「来週までに資料を提出してもらえると幸いです」
「今度の新年会の出否を確認したいので明日までに返事をいただけると幸いです」
「来週中に会議を行いたいので予定を教えていただけると幸いです」

など。ただし先ほども触れたように、この表現には曖昧さがともないます。部下に対して「やってくれると嬉しい」「できればやってくれると助かる」といったニュアンスの表現を使うと誤解を招きやすくなるので気をつけましょう。期日までに提出しなければならない仕事だったのに、相手はそれほど深刻に受け取らずに提出できなかった時に部下から「そんなに大事な仕事だとは思いませんでした」と言われてしまう可能性もあります。そんな時に「ちゃんと空気を読んでしっかりやれよ」と叱るわけにもいかないでしょう。丁寧な表現だけど、必ず言った通りにやってもらいたいというニュアンスが伝わる表現を心がけましょう。

なお部下あてに使う場合には、似たようなニュアンスでもっとくだけた表現を使うこともできます。よく使われるのが「助かるよ」「ありがたい」です。先ほどの例文を参考にすると、

「来週までに資料を提出してくれると助かるよ」
「来週に会議をしたいから予定を早めに教えてくれるとありがたい」

など。「幸い」から「助かる」「ありがたい」に代えることでへりくだる気持ちがなくなる一方で、感謝の気持をストレートに伝えることができるようになります。部下だけでなく、近い関係にある同僚相手にも使える表現です。

例文(同僚あて)

もっとも使う機会が多くなるのが同僚あてでしょう。日常の仕事中に口語で使う機会が多くなるだけでなく、公私両方の用事の確認にも使われます。

「来週にプレゼンを行うので今週中に資料をまとめておいてもらえると幸いです」
「相談したいことがあるので仕事が終わった後につきあってくれると幸いです」
「さきほどメールを送っておいたので目を通していただけると幸いです」
「先日の提案について検討していただけると幸いです」

また、プライベートな用事でこの表現を使う機会が出てくるのも同僚あての特徴です。

「来週にみんなで懇談会をやりたいので予定を教えていただけると幸いです」
「今度ささやかなパーティーを行うのでご出席いただけると幸いです」
「ささやかなものですが、お土産です。喜んでいただければ幸いです」

など、対等の関係に対して使い勝手の良い表現といえるでしょう。

またプロジェクトなどで一時的に同僚として働くことになった場合など、それほど親しくない人とのコミュニケーションにも「幸いです」は便利です。前出の例文の繰り返しになってしまう面もありますが、

「あなたが進めている作業を来週の中ほどまでに仕上げていただけると幸いです」
「プロジェクトの進捗状況について相談したいことがありますのでお時間を割いていただけると幸いです」

といった使い方ができます。

なお英語表現では「appreciate」という表現がよく使われます。感謝の意図を伝える動詞で、「I appreciate」、または「I would appreciate」ではじめてその後にお願いしたいことを続ける形になります。例えば、

「I would appreciate if you could be in charge of this task(あなたがこの業務を担当していただけると幸いです)」

などです。また、「Could you~?」の疑問文で直接依頼する表現として「幸いです」を表現することができます。「Could」を使う依頼分はとても丁寧な表現となります。

「Could you finish the task next week?(来週までにこのタスクを終わらせていただけますか?)」

訳文にすると「幸いです」が含まれませんが、丁寧かつ控えめな表現なので日本語の「幸いです」のニュアンスに近くなります。

まとめ

これまで指摘してきたように非常に使い勝手の良い表現である一方で、使う側にとっても使われる側にとっても曖昧なニュアンスがともなう表現です。

使う側が知らず知らずのうちに一方的に都合を相手に押し付けてしまってしまうような表現になってしまうこともあれば、使われる側が依頼の内容を軽く受け取ってしまうこともあります。それが思わぬ問題を引き起こしてしまうこともあるので注意しましょう。

ポイントとしてはあくまでこの表現は「あなたにそれをしてもらえるとわたしは嬉しいです」と意味合いを持っており、強くお願いするニュアンスはもともとないこと、そしてへりくだった表現である一方で相手を尊敬する意図は薄いことです。納期・期日が決まったことをお願いしたいときにはその点を強調するか、別の表現を使う、目上の人に使う時には「幸甚に存じます」など少々硬めの言葉を選ぶなどの工夫を忘れないようにしましょう。

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